家電製品の出張修理を行っていた個人代行店が労組法上の労働者にあたるのか否かが争われた事件の最高裁判決(平成24年2月21日判決)だ(労組法上の労働者の意味については、2011年8月29日の
「個人事業主と労働組合 その1~4」参照)。
最高裁判決は、個人代行店が会社の事業に必要不可欠な労働力として組み入れられ、契約内容も一方的に決められていたなどの事実を認定して労組法上の労働者とした。
個人事業主の労働者性については、今回の判決に先立つ
「INAXメンテナンス事件」「新国立劇場運営財団事件」で労組法上の労働者であると認めていたので、ある程度予想された結論ではあった。
最近、労働者ではなく、インディペンデントコントラクター等といって、個人事業主の形式をとることが流行っている。これは、個人事業主とすることで、事業主としての責任や、やりがいインセンティブを持ってもらおうという趣旨にもとづくものもあるが、一方で、労働者については、残業時間や解雇、労働条件変更などの規制が厳しいので、それを何とか回避しようとする意図に基づくものも少なくない。
個人事業主の制度は、適正な形で設計されないと、結局、紛争になって後に契約の打ち切りを解雇にあたり無効とされたり、多額の残業代の支払いを命じられたりする。また、労組法上の労働者にあたるとされると、労働組合と団体交渉を命じられることにもなるので、気を付けたい。