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懲戒処分に関するよくあるご質問


はじめに


 今回は、懲戒処分に関するよくあるご質問に対する回答をご紹介したいと思います。



.ある社員に懲戒処分を課したいと思っています。気を付けるべき点を教えてください。


.まず、就業規則に書いてある懲戒事由と懲戒処分の内容(けん責、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇等)を確認してください。懲戒権行使のためには就業規則に懲戒規定があることとその周知が必要となります。次に、本人に対して弁明の機会の付与、つまり当該社員の言い分を聴く場を設ける必要があります。また、どのような処分を課すかを決めるに当たっては、非違行為の内容と処分の重さのバランスが取れているかどうかを検討しておく必要があります。



.社員がセクハラ行為をしました。当社の就業規則ではセクハラ行為をしたことを懲戒事由として定めていませんでしたが、今回新たにセクハラ行為を懲戒事由に加えて当該社員に懲戒処分を課したいと思います。


.懲戒処分を課す場合には、新たに設けた懲戒規定を遡ってそれ以前の行為に適用することはできません。



.懲戒処分を課すにあたり、事前に当該社員に会社へ出頭し言い分を述べるよう通知しました。しかし、その社員は予定した日に出社せず聴き取りができませんでした。このまま懲戒処分を課してもよいのでしょうか。


.会社が懲戒処分の対象となる社員に対し、その弁明を聴く期日を予め書面で連絡したにもかかわらず、当該社員が正当な理由もなくこれに応じない場合には、弁明の機会を自ら放棄したものとみなして懲戒手続をすすめる場合があります。



.ある社員に対し懲戒解雇を検討していたところ、その社員が辞職してしまいました。退職後でも懲戒解雇することはできますか。


.社員が辞職の意思表示をし、退職の効力が発生した後(辞職の意思表示から2週間経過後、月給制の場合は賃金計算期間の前半に申し出たときに次期の初日に効力が発生します)は、もはや懲戒解雇することはできなくなります。したがって、会社としては懲戒解雇に相当する非違行為が疑われる場合には速やかに事実調査を行い、弁明の機会を与えて手続を進める必要があります。
                                                  以上




by tenma-lo | 2017-11-02 17:02 | 労働